誤解だらけのものづくり (6)
こんにちは、技術士(経営工学)の、みーちゃんぱぱです。
昨日に引き続き、大きな誤解の一つを解説します。
経験から言うと、これも多くの工場で行われている誤解です。
「仕掛品は多い方がよい」は間違い
ある工場では、8つの工程間に、8日分以上の仕掛品が置かれています。
もちろん、仕掛品の量が半端ないので、通路まで埋め尽くされています。
以前のエントリーで解説しましたが、これは相当ヤバいです。
総合リードタイム短縮の価値を知らない盲点に気付け! (2)
なぜなら、
生産リードタイム=各工程の正味加工時間+各工程間に停滞している時間(仕掛品の量)
で表されます。
通常、各工程に停滞している時間は、各工程の正味時間の10倍以上です。
仕掛品が多いと、ものの流れが停滞し、生産リードタイムが長くなり、
生産性は上がりません。
このように、理論と現実を比べると理解できますよね。
では、なぜこの工場では工程間に多くの仕掛品があるのでしょうか。
なんとこの原因は、各工程の作業者に1時間に何本の製品を作ったかを競わせている
ことだったのです。
だから、各工程の作業者にとって、仕掛品が沢山あると、
1時間当たりの数を増やせるのです。
そのため、各工程の前に仕掛品が沢山あるのです。
ちなみにこの工場は真っ赤(赤字)でした。社長は工程間に仕掛品が沢山あると、
工場が活性化していると理解していました。
多くの中小メーカーの経営者や管理者は、工程間に仕掛品が多いと喜び、
工場は活性化していると考えています。
この仕掛品が生産性向上を妨げ、赤字の原因になっていることに気付かないのです。
しかし、FL法指導を受け、数か月後に社長はこの間違いに気づきました。
もちろん黒字にもなりました。リードタイム短縮の価値は計り知れません。