設計改善は現場改善より重要だ (4)
こんにちは、技術士(経営工学)の、みーちゃんぱぱです。
一昨日、設計思想次第で設計のやり方が変わり、
実際のコストも変わってくるので、しっかりとした設計思想を作ることが
非常に重要である。という話をしました。
設計思想の代表例
ロシアのミハエル・カラシニコフ氏の設計で有名なカラシニコフ銃というものがある。
イラク戦争のときの前線の兵士によると、
「水に浸しても、この銃はすぐ使える」
「足で踏んで歪んだ銃弾でも、問題なく使用できる」
だそうです。カラシニコフは砂誇りや泥水に浸かった程度では機能に問題は生じない。
つまり、いつでもどこでもどんな使い方でも、確実に実弾を発射できるのです。
一方、米軍のM16自動銃は、イラクの砂誇りでしょっちゅう弾詰まりを起こしました。
そして前線の米兵は、敵から押収したカラシニコフAK47を倉庫から持ち出して
使い始めたそうです。
それまでの銃の設計思想では、的中率を上げるために高精度な設計が中心でした。
しかもごみが入らないように、更なる高精度を追究するというやり方です。
つまり、標準的な使用条件での高性能を追究していました。
M16のような銃はゴルゴ13には最適でしょう。
M16はゴルゴ13の愛用銃であり、しかも全てのパーツがゴルゴ仕様の特注品です。
そこで、カラシニコフは逆を考えました。以下は、カラシニコフの言葉です。
「私は、隙間を大きくとった。(中略)要するに部品をスカスカにしたんだ。ごみや火薬のかすが入ってもこれなら動く」
さらに弾詰まりを防ぐ重要部品であるスライドを、従来の2倍の重量にしました。
薬きょうのかすが隙間に入り込むなどの少々の負荷があっても、
確実に動作するようにしたのです。
カラシニコフは、まず確実に動作することを追究し、その後、
機能に重要でない部分を削って全体の重量を軽くすることなど、
要求仕様の作り込みをしたのです。
そうです、これが設計思想です。
このカラシニコフの設計思想は、品質工学を学ぶ際に大変参考になります。