従来からの改善活動の問題点 (1)
こんにちは、技術士(経営工学)の、みーちゃんぱぱです。
お正月から張り切っていきましょう。
このテーマになった経緯は昨日のエントリーを参照下さい。
従来の改善の問題点
経営者向けセミナーでも複数の経営者の方が、
「毎年それなりの経費をかけて改善活動をしているのに、
経営に寄与するだけの成果が得られないのはなぜだろう」と考えているようです。
これはよく分かります。私は社内のQCサークル活動推進事務局をしていたので、
経営者よりもこのことについて考えていました。
師匠O先生にコンサルを学ばせて頂くようになり、その原因がよく分かってきました。
それは、改善活動自体が部分最適になっていて、
各部門が好き勝手に活動しているということです。
もちろん、実際に活動している担当者はそんなつもりは毛頭ありませんが、
結果的に部分最適になってしまい、全体としての成果が全く出ていないのです。
事実、製造部門だけの改善には限界があります。
製造部門だけでできる改善とは、ムダ取りや5S推進、工程改善等、
部分的な生産性向上が見込める程度の現場改善と呼ばれるものです。
また、最近では多品種小ロット化が増えたため、
改善対象製品の生産量が少なくなり、せっかくの改善効果が小さくなってしまいます。
このような時代背景も原因の一つになっています。
したがって、大きな成果を出していくには「しくみの改善」が不可欠であり、
受注から出荷までの流れ全体を対象とした改善を行う必要があります。
そのため、私達はFL法をベースに、
中小メーカーの生産性を向上させるお手伝いをしているわけです。
ここで注意すべきは、全部門共同であるべき姿(目標)を作り、
十分にコンセンサスがとれた状態で取り組むということです。
よくある話、製造部門は材料調達にはJITを理想としますが、
調達部門は安く買うために大ロット発注を志向しますよね。
また販売部門は欠品防止のために小ロット生産を要求しますが、
製造部門は段取り替え回避のために、まとめ生産をしたがりますよね。
このように各部門で求めているものが違う以上、必ず問題が発生します。
これを十分認識し、部分最適思考から全体最適思考へと改革を進めるのです。
また、現場改善は全く必要ないのかというのではなく、
現場改善の目的を明確にします。
「現場改善は、月に1テーマ(目標)解決できる小さなテーマ(目標)にすること。
そして、大きな経済効果を期待しないこと。」と指導しています。
現場改善は全体最適を達成するために、個々の現場で起きている問題を解決し、
問題解決のできる人を育成するために行います。
次回は、改善と改革の違いについて解説します。