最近の監督者は技能の教え方を知らない (2)
こんにちは、技術士(経営工学)の、みーちゃんぱぱです。
現在ある会社の工程改善をしています。
熱心な社長の色々な要求に応えて、ついに5回目です。
(「10×1」と「1×10」は何が違うの?から続いてます)
さて、昨日は技能を習得させる訓練法として、
すぐに覚えられるものと、そうでないものがある。
まずは、これを層別することだ。
また、直ぐに覚えられない作業には、調整作業を要するところである。
という話をしました。
本日のテーマは、調整作業の訓練法です。
私は工場時代に、成形加工を担当したことがあります。
製品の型に材料を入れ、成形機に投入し成形するという作業ですが、
数百ミクロンの厚さの製品であり、材料の特性が少しずつ変化するため、
1日に数回の調整作業が発生していました。
調整作業の内容は、製品の型に数十ミクロンのテープを張って、
厚さを均一にすることです。
この調整作業は1日8時間作業の内、3-4回しかありません。
しかしベテラン作業者が調整してしまうので、
この作業ができない人の訓練チャンスはありません。
そのため、この作業をできる人が限られてしまっていたのです。
そこで、この作業を標準化するために、私に白羽の矢が立ったわけです。
その経験を踏まえた私の指導は、
監督者と作業者に休日出勤してもらい訓練することである。
とにかく1日ひたすらやることが重要である。
これによって、通常1年以上かかる調整作業を
休日のたった1日の訓練でマスターできる。
要は、勤務中でなく休日や残業時間に繰り返し集中訓練することだ。
全ての調整作業はこの原理で体得させることができる。
「実作業しながら教える」という発想をやめて下さい。
難しい調整作業は、覚えるまで何回も何回も繰り返してやるしかないんです。
訓練に数年かける。休日のたった数日で集中的に訓練して体得させる。
管理者のあなたはどちらを選びますか。
作業者の力量とは、調整作業の習得にあると言っても過言ではありません。
調整以外の作業は、その工程に入ればすぐに覚えられるものばかりです。
それでは、最後に山本五十六元帥の名言です。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
この教えは、作業者への技能習得の基本です。
ちなみに、五十六の由来は、当時の父親の年齢から名付けられたそうです。