たった90日であなたの工場が黒字化する方法

技術士による工場の生産性向上講座

誤解だらけのものづくり (2)

こんにちは、技術士(経営工学)の、みーちゃんぱぱです。

昨日は、多品種少量生産に“かんばん方式”は適用できない、

トヨタ生産方式を導入すれば利益が出るというのは誤解だ、

をサラッと解説しました。

pe-michanpapa.hatenablog.com

 

しかし、これだけではよくわかりませんよね??

私も最初はそうでした。では、もう少し詳しく説明します。

*かなりマニアックな話になってしまいますが、詳しく突っ込んでみます。

 

トヨタ生産方式かんばん方式

 

ものづくりの世界では、トヨタ生産方式がものづくりの理想のように思われています。

特に、トヨタ生産方式=かんばん方式、と思い込んでいる人は本当に多いです。

 

かんばん方式トヨタ生産方式の手段の1つに過ぎません。

トヨタ生産方式も全ての工場に適用できる万能なものではありません。

もし万能なら、

トヨタ生産方式を導入した全ての工場は間違いなく儲かっているはずです。

でも現実は違いますよね。

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かんばん方式

まずは、このトヨタ生産方式が成立するためには、幾つかの前提条件があります。

代表例としては、

 

①生産の平準化(量の平準化、種類の平準化)が出来ていること

定量在庫を決めて管理することが出来ること

③ある程度の期間安定的に製品を製造出来ること

 

等々。しかし製造業を経験されたことのあるあなたは、

現実的に生産の平準化が出来る工場なんてほとんどないことや、

月や週の生産変動に悩まされている工場がほとんどであることがわかります。

 

そうなんです、前提条件からトヨタ生産方式が成り立たない工場が、

トヨタ生産方式に取り組んでもうまく行くわけがないんです。

 

ではなぜ自動車業界等でこの方式が上手くいっているか考えてみます。

それは製品としての特性の違いが大きく影響しているからだと思います。

 

自動車などは魅力機能が非常に強い商品であり(VEで言うところの)、

顧客は希望の車が手に入らなければ手に入れられるまで待つのが普通です。

今欲しい車が無いからと言って他の車を買うことはほとんどありませんよね。

私なら確実に待ちます。(レクサスが欲しい、でも今はカローラしかないから、

じゃあカローラ買うわってなりませんよね。)

 

そのため工場は多少納期を犠牲にしても、

安定的な工場運営(平準化)を行うことが可能になるんです。

 

しかし他の製品はどうでしょう?顧客を待たせることが出来るでしょうか?

その答えは明白で待たせることは出来ません。

そのような行動を取れば間違いなくシェアは低下し赤字へとまっしぐらです。

 

つまり自社の製品特性を良く考えた上で生産方式を選択しないと、

本当の意味の効率的な生産はできません。

 

また(2)の定量在庫を決めて管理するということも十分に出来ない工場が多いです。

特に製品ライフサイクルの短い企業や新製品の多い企業では、

適性在庫量を決めることが難しく、生産変動が大きい企業では適性量自体が

変化してしまい管理がかなり難しく、時として欠品や過剰在庫が発生してしまいます。

 

更に更に、生産工程が複雑な企業や工程数自体がかなり多いところでは、

各工程間に不要な在庫が溜まり易く、管理工数が大きくなる傾向があります。

 

このような製造環境におかれた工場では、

トヨタ生産方式自体を成り立たせることは困難になるばかりでなく、

自社の製造環境、製品特性を考慮することなく

トヨタ生産方式を実施すればトラブルばかりが増加し、

収益を上げると言う工場として最も大切な機能が失われる事になってしまうんです。

 

特に中小メーカーは多品種少量生産の工場がほとんどですので、

尚更、トヨタ生産方式(手法であるかんばん方式)は適用できません。

 

以上、お分かり頂けたでしょうか。